今日も前日までの美術館のご紹介の続きです。昨日までCollection de l'Art Brut(アール・ブリュット美術館)、Fondation de l'Hermitage(エルミタージュ財団)に続きまして、今日ご紹介するのはMusée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10)です。
昨日までの美術館のご紹介はこちらから↓
🇨🇭Collection de l'Art Brut(アール・ブリュット美術館)
🇨🇭Fondation de l'Hermitage(エルミタージュ財団)
Musée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10)は、1841年にできた美術館です。
もともとは、リュミーヌ宮にあった美術館ですが、2019年に州立美術館がここに移転しています。
こちらが、もともとMusée cantonal des Beaux-Artsがあった建物です。ロシアの皇族の子孫である貴族ガブリエル・リュミーヌから町に寄贈された建物だそうです。お城のような素敵な建物ですよね。現在はローザンヌ大学図書館、歴史・考古学博物館(州立貨幣博物館併設)、地学博物館、動物博物館の4つの博物館が入っているそうです。
現在のMusée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10)の話に戻りますね。この美術館は「プラットフォーム10」という名前から想像できるように、旧国鉄の車庫を使った建物なのです。なので、よく見てみると、建物の周りに線路のような線があったり、建物自体に車庫の型みたいなものがあります。
また、美術館の近くにはこのような当時の線路も残されていました。昔の建物や昔の場所を上手く活用していますね。
美術館のまわりをぐるっとみたら中に入ります。リノベーションしているので入口はモダンですね。
中に入ると中央にはイタリアの作家Giuseppe Penoneさんの作品が目を引きます。高さはなんと14メートルで木は青銅で、葉は金色に塗られています。作家のGiuseppe Penoneさんは、この作品について「木は空に向かって育ち、葉は光合成のために広がります。太陽の光を浴びてキラキラ輝く様子を金色の葉で表現しています。また、木の上にある球体は、重力にさらされる要素(地球の深さや暗闇に向かって私たちを導く存在を表現)です。まるで空から落ちてきたかのように、球形の岩が木の上に乗っています。完璧な幾何学的な物体は、木とは反対のものです。」と言っています。現代アートでもとてもおしゃれで素敵な作品だなと思いした。
さて、入場料は大人20フラン(約2,400円)で毎週第一土曜日は無料で入れます。
スイスミュージアムパス(166フラン(約20,000円))があると、1年間美術館が行き放題でして、こちらの美術館もスイスミュージアムパスで入ることができます。
営業時間は月曜日は休業、火曜日〜日曜日までは10時から18時まで開いています。また、木曜日のみ20時まで開いています。
ここでも、コートをかばんを預けるのですが、ホテルに荷物を置いてきたのでロッカーには行かずにそのまま美術館を見学し始めました。チケットを購入すると緑色のシールがもらえますので、洋服の胸などわかりやすいところに貼って見学開始です。
美術館の中はこの日行った他の2つの美術館の建物とは180度変わって、とても現代風な造りでした。
最初の部屋はとても大きな作品が数多く展示してありました。見上げるほどおおきなこの作品はスイス・ジュネーブの画家François Didayさんによって描かれたものです。ローゼンラウイ氷河という場所の風景で、左奥に氷河が見えると思います。
大きなローゼンラウイ氷河の絵の横には、これまた大きな絵画がありました。こちらはフランス人画家Eugène Burnandさんの作品です。スイスに滞在中2ヶ月をかけて描かいたそうです。アルプスの牛が遠くを見つめていますね。本当にこの絵が大きくて、絵の横に並んだら牛と私が同じくらいの大きさでしたよ!そういえば、こう大きな作品ってどこから描くのかな?と思っていたら、描き始めは牛の頭からだったらしいです!
大きな作品に圧倒されながらも進んでいきます。
隣の部屋に入るとすぐに目を引くのが、スイス人画家Ferdinand Hodler(フェルディナント・ホドラー)の作品です。スイスの大きな美術館には必ずと言っていいほどホドラーの絵がありますし、絵にあまりにも特徴があるのですぐにホドラーだとわかります。この作品はChexbres (シュブル)という街から見たレマン湖です。ホドラーは、数多く湖の絵を描いていますが、本当にその気持がわかります。スイスの湖の色やその周りの緑はこの絵そのもので、鮮やかで美しい景色なんです。実物に見るとその美しさは心を揺れ動かすほど綺麗ですし、写真に撮っても、加工は一切なしで十分に綺麗に撮れます。そんな景色を見ている画家なら描かずにはいられませんよね!そのホドラーの気持ちが少しわかるような気がするので、私にとってホドラーはお気に入りの画家の一人なんです。
こちらはClaude Monet(クロード・モネ)の作品です。モネの睡蓮を彷彿とさせるタッチですが、色使いが爽やかですね。この作品の場所はフランス・ノルマンディー地方の近くのÉtretat(エトルタ)という場所だそうです。この場所はたくさんの画家を魅了したようで色んな方が作品を残しています。
いつも同じ画家の作品ばかり紹介していてすみません。。少しずつ勉強します。それにしても、ここの美術館にある作品は今まで行った美術館の中でもサイズが規格外だと思います。本当に大きな作品がたくさんあります。
こちらは有名なフランス人彫刻家のAuguste Rodin (オーギュスト・ロダン)の作品です。日本では「考える人」が有名ですよね。
なんか、面白い作品を見つけました。なんかの密会の様子?みたいですが、この作品はスイス人画家兼版画家Félix Vallottonによって描かれた作品です。
カフェの奥の部屋とかシアターボックスの間のクロスの中のような場所で密会していますね。Félix Vallottonはパリでこのようなシーンをたくさん見かけたようで、他にも密会を描いた絵画がたくさんありました。「見ること」と「見られること」をテーマにしていて、よく見てみると男性の頬がちょっと赤いですね。この女性を気に入っているんでしょうかね・・・面白い作品です。
こちらはフランス人画家のAmédée Ozenfantの作品です。楽器が好きだからついつい目が行きました。
そして、これまた私の好きなスイス人画家Paul Klee(パウル・クレー)の作品です。パウル・クレーの作品はだいたい象形文字みたいなものが多いのですが、こちらの作品もそうだったのですぐにわかりました。
3階に行く途中大きな窓がありました。ここから、ローザンヌの街が一望出来て、とても素敵でした。
そして、3階は特別展がやっていて並んでいたので見てきました。入口にはJean Dubuffetの作品がお出迎えしてくれました。Jean Dubuffet(ジャン・デュビュッフェ)といえば、先日ご紹介したCollection de l'Art Brut(アール・ブリュット美術館)に約5000点のコレクションを寄贈した方ですが、その方の作品を見れるとは!なんか、とてもポップですね(笑)
Jean Dubuffet(ジャン・デュビュッフェ)は、フランス人画家で20世紀を代表するアンフォルメルの先駆者と言われています。(アンフォルメルとは激しい抽象絵画を中心とした美術の動向のことです。)もともと実家がワイン商でしたが、その傍らで作品を作っていたそうです。彼が画家になろうと決断したのは40歳の時なので、遅いスタートでしたね。そんな背景があるからなのか、彼が収集していた作品は主に精神病患者や受刑者が病院や牢獄内などで描く作品や特別な芸術教育をうけず、技法や様式などの既成概念にとらわれない人々がつくりあげた純粋で無垢な芸術作品でした。そう考えると納得のストーリーです。
そして、この特別展なんですが、他の方の作品もたくさんあったのですが、難しすぎて・・・
最後に、またコレクションエリアに戻ってきました。この絵を見て下さい!中心にある絵、セザンヌの絵ですよね??それをたくさんの人が取り囲んで商売している??ようなシーンです。と思って調べてみたら、画家や批評家たちが、セザンヌを礼賛していることが表現されているそうです。フランス人画家Maurice Denis(モーリス・ドニ)によって作られた作品でした。
見どころがたくさんで広いこの美術館は、他にも現代アートの展示もありました。スイスにあるほとんどの美術館では、作品にガラスがないこと多く、素晴らしい作品を至近距離でまじまじと見ることができます。その作品の繊細さや色使い、またガラスも柵もないため、画家の描いている様子を思い描くこともできます。
Musée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10/ヴォー州立美術館)は、有名な画家の作品がたくさんあるので、ローザンヌに来たら行っておきたい美術館の一つだと思います。
以上、Musée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10/ヴォー州立美術館)でした。
「Musée cantonal des Beaux-Arts(PLATFORM 10/ヴォー州立美術館)」の場所はこちら↓
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